5分でわかる配偶者特別控除の基本

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配偶者特別控除とは扶養控除の一種であり、アルバイトやパートタイムで妻が103万円〜141万円の収入をあげた年に、夫の収入額から控除できるものです。103万円〜105万円までは38万円の控除が受けられ、5万円刻みで段階的に控除額が減少し、141万円を超えると控除額が0円になるというものです。

なお、夫の所得が1,000万円以上の場合、配偶者特別控除をうけることができませんので注意が必要です。

配偶者特別控除の要件

以下3点については、配偶者控除と同じです。詳細を確認したい方は「5分でわかる配偶者控除の基本」のページも合わせてお読みください。

①民法の規定による夫婦であること
②生計を一にしていること
③事業専従者の給与がないこと

5分でわかる配偶者控除の基本
配偶者控除とは扶養控除の一種であり、配偶者がいる納税者に対し一定の配慮をするという考え方で設計された制度です。政府は配偶者控除の見直しを検討していますが、配偶者控除とはそもそもどのようなものなのか、どこよりもわかりやすく解説します。

配偶者特別控除特有の要件は以下のとおりです。

④配偶者(妻)の合計取得金額が38万円超76万円未満であること

「合計所得金額」とは、アルバイトやパートの「総所得」から、給与所得者全ての方に適用される「給与所得控除」の65万円を引いた額のことを指します。

合計所得金額 = 総所得 ー 給与所得控除(最大65万円)

つまり、1年間の総所得が103万円超〜141万円未満であれば、配偶者特別控除の対象となります。

⑤控除を受ける人(夫)の年収が1000万円以下であること

控除を受ける人というのは、主たる納税者のことを指しますので、納税者が夫ですと、夫の合計所得金額は1000万円以下である必要があります。

2017年税制改正で検討されていること

<妻の年収上限の拡大>
給与所得のある妻の総所得範囲を103万円超〜141万円未満から150万円超〜201万円未満とすることが検討されています。

<配偶者特別控除額の縮小>
配偶者特別控除額の上限を38万円から34万円に減額することが検討されています。

配偶者控除による控除額について

給与所得者の税金は所得税と住民税という2種類の税金がかかりますが、配偶者特別控除は、収入に応じて控除額が段階的に変化します。

<所得税>
・103万円超~105万円未満:38万円
・105万円以上~110万円未満:36万円
・110万円以上~115万円未満:31万円
・115万円以上~120万円未満:26万円
・120万円以上~125万円未満:21万円
・125万円以上~130万円未満:16万円
・130万円以上~135万円未満:11万円
・135万円以上~140万円未満:6万円
・140万円以上~141万円未満:3万円

<住民税>
・103万円超~110万円未満:33万円
・110万円以上~115万円未満:31万円
・115万円以上~120万円未満:26万円
・120万円以上~125万円未満:21万円
・125万円以上~130万円未満:16万円
・130万円以上~135万円未満:11万円
・135万円以上~140万円未満:6万円
・140万円以上~141万円未満:3万円

なお、住民税は所得のあった年の翌年に課税されます。控除額を決定する基準となる収入額は前年の金額となるので注意が必要です。

また、「控除額」とは、夫の総収入に対し課税対象から外すという意味ですので、上記の額がそのまま戻ってくるわけではなく、控除額に所得税・住民税それぞれの税率を掛けた額が還付されることとなります。

<モデルケース 夫の年収が500万円、妻の年収が130万円の場合>
夫が年収500万円の場合、所得税が20%、住民税が10%であり、妻の年収が130万円だと所得税・住民税ともに控除額は11万円ですので、以下の金額が戻ってくることとなります。

所得税:還付額 22,000円
住民税:還付額 11,000円

妻の年収103万円〜141万円の誤解

ここまで配偶者特別控除をうける条件として、妻の年収が103万円〜141万円未満という表現を避け、合計所得金額という表現をしてきました。

確かに、夫がサラリーマンで妻がアルバイトやパートタイムの場合はこの103万円〜141万円未満という条件に合致する家庭が対象となりますが、税法上は妻の合計取得金額が38万円〜76万円未満であることが要件となります。なぜこのようなわかりにくい表現なのでしょうか。

妻の所得が給与所得の場合は年収103万円〜141万円未満

所得税は、収入から必要経費(所得控除など)を差し引いた後の金額をから算出します。アルバイトやパート、会社勤めによる収入は税務上「給与所得」という所得区分にあたるため、所得控除65万円を引き合計取得金額38万円〜76万円未満となる年収は103万円〜141万円未満ということになります。

給与の収入金額 - 給与所得控除(65万円) = 合計所得金額

妻の所得が公的年金の場合は妻の年齢に応じ変動

妻の収入が公的年金であれば、1年の収入金額の合計から「公的年金等控除額」を引いた額が38万円〜76万円未満であれば、配偶者特別控除の対象となります。公的年金等控除額は、年金受給者の年齢が65歳未満と65歳以上とで次のように分かれます。

65歳未満 最低70万円
65歳以上 最低120万円

よって、妻が65歳以上であれば158万円〜196万円まで、65歳未満であれば108万円〜146万円までの公的年金受給者であれば、夫は配偶者特別控除を受けることができます。

公的年金の収入金額 - 公的年金等控除額(120万円)= 合計所得金額

まとめ

103万円を1円でも超えてしまうと配偶者控除が全額適用できなくなることを避ける為、1978年に導入された配偶者特別控除ですが、この制度により税制上の103円の壁というものは解消されたことになっています。

これより社会保険上の壁である130円の壁(新106円の壁)は現在の収入にも将来の年金収入にも大きく響く話ですので、違う機会に解説したいと思います。

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