年金受給者の対象を拡大するため、年金の受給に必要な保険料の納付期間を25年から10年に短縮する改正年金機能強化法が平成28年11月16日の参議院本会議において全会一致で可決、成立しました。
これにより約64万人が新たに年金の受給対象となりますが、これまで普通に納付している方にとっては年金額の上乗せがされるわけではありません。豊かな老後への備えとして、今できることを検討します。
目次
改正年金機能強化法による変更点
本法において、基礎年金の受給額は納付期間が25年の方で月約4万円、10年の方で約1万6000円へと変更となります。
専業主婦が任意加入だった時代に加入していなかった方を中心に範囲が拡大されますが、この受給額では公的年金に頼らない豊かな老後を迎えることは困難です。
老後に必要な生活費は?
そもそも、老後に不自由なく生活するにはどの程度のお金が必要なのでしょうか。
生命保険文化センターが行った意識調査では、夫婦2人が最低限必要と考える最低日常生活費は月に22.3万円という結果が公表されています。
ゆとりある老後生活を送るためには更に14.3万円の金額が必要であり、月に36.6万円を得ることで初めてゆとりある老後生活をおくることができることになります。
年金平均受給額は?
厚生労働省年金局が公表している資料によると、平成26年度の年金受給額の平均は、国民年金が54,414円、厚生年金が144,886円となっています。
夫婦2人が受け取る額を単純にモデルケースにあてはめると以下の通りとなります。
自営業者 :月10.9万円
妻が専業主婦:月19.9万円
夫婦共働き :月28.9万円
夫がサラリーマン、妻が専業主婦のケースですら生活に最低限必要な額を下回ることとなります。
公的年金に頼らない収入
老後の生活で子供に負担をかけないために、貯蓄や投資など現役世代からの準備は重要です。
余裕資金ではないため極力リスクを低くするためには、以下の商品が有効と考えられます。
おすすめは個人年金保険
銀行の普通預金よりも増え、老後の資金を確実に貯めることができ、個人年金保険料控除により所得控除を受けることができます。
将来受け取れる年金額が決まっている確定型の場合インフレに対応できないとか、保険会社が破たんした時年金額が減らされるというリスクはあります。
保険会社が破綻した場合の契約内容の変更の可能性については以下の記事をご参照ください。

最も手堅いのは定期預金
いつでも引き出せる普通預金ではなく、預ける期間を決めて銀行に預金する定期預金が最も手堅い方法です。
満期になるまで払い戻すことができず、満期前に解約をすると減らされる可能性がありますが、預入期間は最短1ヶ月から最長10年までと、個人年金に比べてインフレリスクは低い商品です。
控除メリットが魅力の確定拠出年金
現役時代に掛金を確定し、運用益が老後の受給額として支払われる年金であり、401Kとも呼ばれます。支払った掛金の全てが所得控除にることのメリットが大きく、住宅ローン等で控除枠を使い切っていない方にとっては非常に魅力ある商品となります。
ただし、ファンドの運用益によっては、掛け金が割れる可能性があるというリスクにご注意ください。
投資信託、株式運用、外国為替による運用
株式投資など年に1度程度数%の配当金がもらえますし、外国為替も組み合わせによっては毎日利息が入ってきますので、株価変動による評価損を受け入れることができるのであれば、選択肢の1つになります。
ただし、運用益により、大きく元本を割れる可能性があるため注意が必要です。
まとめ
公的年金に頼ってばかりでは、老後の十分な備えには対応できませんので、リスク分散をしながら色々な収入源を持つことをおすすめしますが、お金が入ることだけではなく出ていくことを防ぐ予防策も同時に重要です。
医療費に関しては、高額療養費制度の見直しにより70歳以上の優遇措置が廃止となり、現役世代同様の負担が求められる時代がやってきます。
長期入院リスクへの対応が不完全の方が多くみられますので、以下の記事もご参照いただければと思います。
