医療保険とは病気や怪我の治療費を軽減することを目的とした保険ですが、契約時に定めた保険期間の間、一定の金額を支払い続けることで、一定の保障を受ける保険です。この医療保険、保険期間が一定期間(5年や10年など)の定期医療保険と、保険期間が一生涯の終身医療保険の2種類が存在します。
昨今は終身医療保険に人気が集中しがちですが、もちろん定期医療保険にもメリットはあります。医療保険に何を求めるのかが一番重要なことですので、それぞれのメリットとデメリットを徹底的に比較します。
保障期間を比較
<定期医療保険>
3年や5年、長いもので10年以上のものと、同じ商品でも複数の保障期間が設定されています。医療保険は子供が成長し大学を卒業するまででいいとか、大企業や公務員などグループ保険に医療部分が含まれており保険料が割安だ、ということを重視する方に適した保険です。
保障期間が区切られていることから、その時その時で時代に合った医療保険を選べるというメリットもありますが、契約年齢に制限(60歳とか70歳など)が設けられていることが多い為、高齢時への備え(個人年金や終身保険など)がない方にとって注意が必要な商品です。
<終身医療保険>
その名の通り、保障期間は一生涯となります。一度加入すれば一生涯の保障が続くのが特徴であり、ガンや心筋梗塞など特定の病気にかかると、以降の支払いが免除(リビングニーズ特約)される期間が長い、ということを重視する方に適した保険です。
医療技術の向上により入院患者の入院日数は年々減少する中通院を重視するような医療保険や、先進医療特約の付与、保険適用の範囲において全額を保障する商品など、加入時にはなかったような商品が次々と発売されています。新しい商品に魅力を感じても、加入時に契約した内容が継続されるため、こうしたことを重視される方にとって注意が必要な商品です。
保険料を比較
定期医療保険と終身医療保険双方の取り扱いがあるA社の商品で比較します。
条件を揃えるため、保障内容は入院日額1万円/日のみの基本プランで比較します。
定期 | 終身(終身払) | 終身(60歳払) | |
29歳 | 1,660 | 1,640 | 2,720 |
39歳 | 1,870 | 2,370 | 4,880 |
49歳 | 2,790 | 3,650 | 11,410 |
59歳 | 5,510 | 5,990 | – |
69歳 | 9,960 | 9,940 | – |
50歳以下で10年以下の保障が必要という方にとっては、定期医療保険は最も安い商品となります。しかし、重要なのは生涯にわたり総支払額はいくらかかるかです。日本人の平均年齢より少し短めの79歳まで生存したとして生涯総支払額を検証します。
定期 | 終身(終身払) | 終身(60歳払) | |
29歳 | 2,614,800 | 984,000 | 1,011,840 |
39歳 | 2,415,600 | 1,137,600 | 1,229,760 |
49歳 | 2,191,200 | 1,314,000 | 1,506,120 |
59歳 | 1,856,400 | 1,437,600 | – |
69歳 | 1,195,200 | 1,192,800 | – |
終身医療保険の支払い方法の比較では、79歳までの生存と少し甘めの設定をしているため終身払いに少し有利な数字が出ていますがそれほどの差はなく、平均寿命以上生きて得をするか早くに亡くなって損をするか程度の違いというのが実情です。ただ、インフレへの対応という面では、若いうちに支払い額が少ない終身払いの方が優れていると考えます。
かたや、定期医療保険と終身医療保険を比較した場合、若ければ若くに加入するほど、終身医療保険の優位性が目立ちます。保険会社の変更等定期医療保険はフレキシブルに対応できる一方、支払額を重視するのであれば終身医療保険は魅了的な商品となります。
インフレへの対応という面でも、定期医療保険と終身医療保険終身払いを比較しても、支払い額にそれほど大きな差がないため、保険料においては、終身医療保険の方が有利に働くことが多いかもしれません。
メリット・デメリットを比較
定期医療保険 | 終身医療保険 | |
保障 期間 |
一定期間(5、10年等)
<メリット> |
一生涯
<メリット>
|
保険 料 |
契約・更新時の年齢により支払額は変動する
<メリット>
|
契約時の年齢で支払額は一生固定
<メリット> <デメリット> |
医療保険に入り続けるという方は、定期型よりも終身型のほうにメリットを感じるかもしれませんし、医療保険は若いうちだけで老後の医療費は貯蓄や年金保険等でカバーするという方は、定期医療保険のほうにメリットを感じるかもしれません。
まとめ
ライフスタイルや、個々人の考え方、加入年齢によりよく考えて医療保険を選択していただければと思いますが、ここでは医療保険に加入することを前提として、どのタイプの医療保険が良いか比較検討してきました。
そもそも医療保険が不要という考えもありますので、別の記事にてご紹介したいと思います。